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本日、BIGMAMAのメジャー1stシングルStrawberry Feelsが発売された。

お世話になったレコード会社を引越し、晴れて大手universalからのリリースとなる1枚目のシングル。
すばり、ご挨拶の3曲。

なんて貫禄のあるメジャーデビューシングル。

 3枚に分かれた歌詞カードは、まるで1枚1枚がA面のように入れ替えられる。

 


BIGMAMAとは、ロックバンドにヴァイオリニストがいる。
こんなに分かり易い自己紹介があっていいのか。

しかし、それ以下でも以上でもないのが、日本を代表するロックバンド、BIGMAMAだ。
いわば原点回帰、さらにタイアップで楽曲的お題が出る。

10年というキャリアをメンバーと積んで、胸元に黄色の羽を付け、ボタンを早押すキザな大喜利グランプリの王者は更なる高みを目指す。

まだまだロックバンドは進んでいく。これほど楽しみなことはない。

 

コラボ中の森ノ宮キューズモールで購入。

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BIGMAMAの名刺として出揃った、渾身の3曲レビューです。

 


strawberry feels

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BIGMAMA“Strawberry Feels”MV(2018/03/07 RELEASE)



strawberry fields(いちご畑)を変換したユーモアあるA面タイトル。

ビートルズの曲名だったり、同名の花もある。



実写ドラマ「賭ケグルイ」のタイアップとして書き下ろされた楽曲である。原作から受けた「」という視覚的ヒントから、見た目と存在感にギャップのある、春の代名詞いちごさんへ辿り着く回路が、金井政人ならではで面白い。

彼はまだ腐っていない。


歌を作ることを楽しみ、歌うことを楽しみ、それを待っているお客さんを楽しませる。

彼の性格上、幾度となく失敗もあっただろうが、だからこそファンは、彼のことがたまらなく愛おしく、好きなのだ。

 


曲の話に戻る。
strawberry(ストロベリー)と曲名につけば、誰もが期待するインスタに映えそうないちごのイメージではなく、

その奥に秘められた誘惑的な甘酸っぱさを詰め込んだギャップある楽曲で、全裸で高層ビルの最上階を綱渡りさせられる感覚に陥り、精神的にも肉体的にもスリリングな展開である。

 

歌詞記号は円錐形▽
今回出そろった3曲を「記号」に例えたのも、彼ら(主に王子と呼ばれる彼)らしい。

調べているとイチゴの形には「尊敬、愛、完全」「完全な正しさ」「善良な所行を成し遂げた正しい人」のシンボルで、聖母マリアの衣服にも、この果物が縫い付けられているそう。


「死んだまま生きるより 生きたまま死ねるよう」

メジャーデビューシングルで不謹慎この上ない歌詞をぶつけた金井。


「1 life is 2 short 3 time 4 lie
女神と8合わせ そのどちらに微笑むのだろう」


擽らせて勝利するなんて言っていられない。
正直者と臆病者。
きっと、裸足のまま駆け巡り足が血だらけで命を堕とすのは正直者で、その利益を奪い操り得をするのは臆病者だろう。

まさに、死んだまま生きた人と、生きたまま死んだ人だ。
しかし、決して、最後に大逆転で正直者が脚光を浴びるなど無責任なことは言わない。


そもそも、こんな究極二択にしなくても良いのに。

適当に生きて適当に役割を果たして適当に死んで埋葬されて。

1人で抱え込めなくなったら逃げればいいものを、小心ながら正面切って向き合おうとする誠実さを持ち続けることろが、ソングライター金井の好きなところだ。

「嘘で固めた鎧(罪)の重さで 身動き取れずに立ち尽くしたまま」

まだその鎧身に着けていたのですか。そろそろ自分だけのために自由気ままに生きてみてはどうですか。ファンは激減するけれど。

見栄っ張りで背伸びして、大切な人を守ろうとして、誰かを傷つけて。不器用なまま、だけど不器用なりに「こうすれば良くたったのかも」と、いつも一歩先で人生の道を示してくれる、そんな歌詞。

「Who really won?」
この一言に全てを賭けて。



そして、4分12秒に渡って繰り広げられる賭け事のような目まぐるしいメロディ展開。

Aメロ→Bメロ→サビ→Dメロ→2サビ→大サビと、BIGMAMAらしく短くスピーディ。

耳に入ってきやすく、純粋にかっこいい。

ストリングスやEDMを取り入れたサウンドに寄り道をしたこともあったが、ロックバンドとして、大勝負をしかけてきた。


ご挨拶と言わんばかりに、第一音はヴァイオリンがスタートを切る。
ここで、勝負は決まったのだ。
ヴァイオリンが鳴り響くロックバンド、つまり、BIGMAMA
胸が冷たくなるようなサウンドとは一転、音楽から受け取った湧き上がるような熱い感動は、彼らが最も伝えたかった「ロックバンドにヴァイオリニストがいる」というBIGMAMAなる定義を確立した証だった。


ベーススラップがかっこいい曲、ツインボーカルが目立つ曲、ヴァイオリンが華やかな曲、ドラムのツービートが爆発的な曲、コアなファンならそれぞれ思い出深い一曲を挙げられるほど、BIGMAMAはこれまで多種多様な楽曲を作っている。

strawberry feelsはざっくばらんに言ってしまえば、そのようなメンバーのハイライトをかき集め濃縮に詰め込んだ一曲。


ヴァイオリニストがいるBIGMAMA、でもギタリストもベーシストもドラマーもシンガーもいる。全員がBIGMAMAとして主役の楽曲となっている。

真っ白なキャンパスに、赤を撒き散らすような圧倒的存在感を放つヴァイオリン。バランスを崩したようなサビ前の音。
メロディコアパンク時代と何ら代わりのない勢いのあるドラミング。
フレーズを繰り返す度、酔い潰れそうになるギター。
荒れ狂う個々のサウンドを包み込んでいるようだが、誰よりも尖っているベース。サビのベンベンではなくベロベロと聞こえるのがお気に入り。

いつもはくどく感じてしまう間奏でさえ、余白の無い音楽が作り上げる衝撃でメンバーそれぞれにスポットライトの浴びる一瞬の連発で、見事に引き寄せられる。

全ての魅力が最大限に引き出された妥協の無い攻めた曲。
耳が2つしかない人間に、この音の厚みはもはや暴力レベルだ。
目が2つしかない人間は果たしてライブをどう楽しむのか。


しかし、残る後味は酸味よりも甘味。
徒労感より達成感。ご馳走様でした。

 

 


Popcorn star

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お代わりはよろしくて?など渾身のA面後に野暮な質問はせず。

「味気ないのも飽きるけど 甘ったるいのにも飽きるでしょう?」

テーブルに運ばれてくるのは熱を加えて120秒で弾け飛ぶポップコーン。


歌詞記号は☆
湿りに弱いポップコーンと泣き虫をかけて、言葉遊びも豊富に用意されている。

初期衝動のようなリズムにヴァイオリンの導く軽やかで爽快なメロディは、スラップでまさに弾け飛んでいるベースの上を流れ星のごとく輝きを放っている。


今は無きInstagramで公開され、武道館ライブで「あとちょっとだけ遊んでいい?」「この中の誰も知らない作りかけの新曲でいいかな!」と、いかにもBIGMAMAらしいメッセージを添えて披露された楽曲。

晴れて日本武道館でのワンマンライブで、未完成曲を披露するとか何事と笑っていたが、出来が良いので言葉を慎みます。

パッケージ化されたが、どこか未完成のまま、ステージの上で音を鳴らすその衝動だけを詰め込んだような曲。


初回限定盤DVDには、strawberry feelsのMVと武道館ライブ映像が付属しているよ。お買い得だね。


ロックスターでもポップスターでも無い と恥じらい謙遜する、彼らの作り出す直感的なシンプルさに加えられる、オリジナルスパイスは、ライブ映え必須。

ツアーが楽しみ。

 

 



Donuts killed Bradford

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英語、ムヅカシイ、デモ好キ。
冬も終わり、僕らに春が来て悩まされる乾燥肌人間とは反対に、しっとりべっとり生臭い血液のような不気味サウンド。

「曲作りしてても『これ聴いたことある』と言われたら嫌だし、そんなこと絶対に言わせちゃいけないし。でもこのタイミングではカッキーやリアドと『今回は、1度やったことがあることでもカッコ良ければそれでいい』って呪文のように言ってて」

(音楽と人 4月号)

 



BIGMAMAとしてのプライドをかけたならば、Strawberry Feelsはとてもよく出来た曲だと思う。
同時に、ファンは、まだ知らぬBIGMAMAのことも知りたくなるのだ。
甘いストロベリーに塩っぱいポップコーン、もうひと品テーブルに差し出されたのは、味の分からぬドーナツ。
いつも通り、予想の斜め上の上だった。
探究心ある5人により生み出される新しい世界を、これからも見せて欲しい。

 


歌詞記号は◎
who am Iの私が3人だったり、you and Iの私が5人だったり、osからsosにゲシュタルトが崩壊したり。とにかくボーカルがよく喋る。


気分は、歌詞カードを読み解き不可思議事件を解決する探偵。

ウィスパーの効いたトランシーバー越しで投げつけられる動詞の数々。

まず単語の意味を調べることに、かなりの時間を費やした。f:id:vxoxi:20180307230624p:plain



今まで英語歌詞に込められたとびきりポエミーな歌詞たちの意味を知れたのは、懇切丁寧に日本語訳が掲載されていたから。
That's the way the cookie crumbles.のように慣用句でないならば、無理難題だ。
takeにいくつ意味があると思っている。
高校時代、単語の意味を覚えることが苦手だったため、英文例文訳文全部丸暗記でテストに挑んだ努力家だぞ。
しかし、気になるので検索は止められない。


rēˈコーナーからのIītコーナー。

は?
は?の域だ。
オフボーカルや重複発音部分を組み合わせれば犯人でも出てくるのだろうか。
金井政人による自作自演の殺人事件な気さえしてきた。
彼の中には隠されたエピソードやロジックがあるらしいが、リスナー1人のあんぽんたんな頭では壮大宇宙レベルの金井政人ワールドを、たった1日ばかりで理解が出来るわけが無い。

伊坂幸太郎先生の「火星に住むつもりかい?」でも扱われていた、魔女狩りの話でも引っ張り出そうかと思ったが、長くなるので割愛。

楽観主義者はドーナツを見、

悲観主義者はドーナツの穴を見る。
(オスカー・ワイルド)

 


空洞よりも円状に目がいくような悲観主義者にはドーナツの穴は、目を背けたくなる程に暗い現実が見えるのだろうか。
焦点を少しずらすだけであっという間に無い存在として認識できるトリックのような穴の中に、何を思うのだろうか。

私は超楽観主義者だから、ドーナツにしか目がいかないし、見えるものも見えない。
見るべきものも見つけられない。

悲観主義者は見たくないものまで見えてしまう。

人の命を救えるのはどちらなのだろうか。

 


対抗恐怖的快感の解釈も入混ざり、余計な考察ばかりが浮かぶ。

「その時に書いた歌詞に関して、その時の感情で喋ることはそんなにしなくていいかなとも思っていて。本当にして欲しいことは、『筆者の気持ちを読み取れ』ではなくて、『あなたの気持ちはどうですか』だけでいいんじゃないかなって。」

(ROCKIN‘ON JAPAN 4月号)

 


じゃあ日本語訳書いてよ!と泣すがりたくなるが、曲はとても完成度が高く仕上がっている。
メンバー間で「サンクチュアリ(聖域)」と呼ばれるほど、ベースラインが際立って物語を暗闇に導く。

スピーカーから爆音で聞いていたので、大事なセリフを聞き落すも、また一興。
鳴り響くサイレン音や時計の秒刻みのようなドラムのカウント、そしてじんわりと姿を現すヴァイオリンなど遊び心も満載だ。
あと、Yeahが好き。


「昨日の苦悩も今日は未踏 悩まなくていい」

など歌う彼こそ、些細なことで悩みに悩んで眠れぬ夜もあったのだろう。ついつい、真面目すぎる性格が故に炎上してしまったブログのことを思い出してしまう。

一つ言わせてもらうと、金井政人は王子でもなんでも無く、口説き文句が豊富で顔が少し整っているだけ。それだけなのだ。
あと、モテる。
だから秘密が生まれて最後の一口が生まれて、ベスト盤で明らかに病み散らかしている箇所があって。

人間らしくて大変魅力的で、もしもこの10年で巻きまくったガソリンにいよいよ着火したような炎上ブログがアンチか元カノによる仕業なら、私は肩を落とす。

しかし、これから先、BIGMAMAと出会うであろう予備軍の人達が検索をかけた時に、あのブログが足枷になりそうで怖い。
どうかSNSにオススメ春コスメや卒業式のドレスをアップするキラキラ金井王子♡なある意味可哀想な層で傷を舐め合い「あれは金井さんが書いたものじゃないから!プンプン!」と否定してあげて欲しい。

 


私はブログを読んだ時に、音楽でやりたい事や、やるべき事がもう無くなってしまったのではないか?と不安を抱いた。

そして、タイミングが重なり、メジャーデビューという新居が活躍したのだと考えた。


しかし、そんな不安や安易な考えさえかっ飛ばす「ロックバンド BIGMAMA」として名刺変わりに匹敵する、曲順・曲間・メロディ・演奏技術どこを取ってもハイクオリティだった。

 


BIGMAMAは、とてもかっこいい。
出来るだけ多くの人に、早く気づいて欲しい。

 

 

 長くなってしまってすみません。

BIGMAMAのメジャー1stシングルStrawberry Feels、ご賞味あれ。

 

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